法制審議会民法(相続関係)部会がまとめた「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」に関するパブリックコメントが募集されています。
この中間試案では、配偶者の居住権を保護するための方策、遺産分割・遺言制度・遺留分制度に関する見直し、相続人以外の者の貢献を考慮するための方策が改正の検討項目になっています。中間試案であり確定的な案ではないため、単一の改正案ではなく、複数案を紹介しています。
例えば遺産分割に関する見直しでは、現行の法定相続分は配偶者の貢献の反映が不十分との批判があるため、配偶者の相続分の見直しが行われ、その方向性として二つの案が示されています。
一つは、被相続人の財産が婚姻後に一定の割合以上増加した場合に、その割合に応じて配偶者の具体的相続分を増やすというものです。具体的には、婚姻後増加額(遺産総額-被相続人の婚姻時の財産額)には配偶者の貢献が高いとみて、法定相続分より高い割合を乗じる一方、婚姻後増加額を除く部分には法定相続分より低い割合を乗じて両者を合計した金額を算出します。その額が現行の配偶者の具体的相続分を超える場合には、配偶者の申し立てにより、その超過分を配偶者の具体的相続分に加算できるというものです。
もう一つは、婚姻成立後、一定期間(例:20年、30年)が経過した場合に、一定の要件のもとで、又は当然に、法定相続分を増やすというものです。増加後の法定相続分については、子及び配偶者が相続人であるときは配偶者の相続分は3分の2、配偶者及び直系尊属が相続人であるときは4分の3、配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは5分の4とする案があげられています。
民法(相続関係)等の改正については、今回の意見募集の結果を踏まえ、今後の審議において更に検討を深めて成案を得ることが予定されています。