2016年度第1回政府税制調査会が、9月9日に開催されました。初回は会長互選、事務局からの報告、内閣総理大臣挨拶が行われ、本格的な議論は次回以降にスタートするようです。
首相は、政府税調に対して、「『公平・中立・簡素』の三原則の下、民需主導の持続的成長と財政健全化を両立させながら、強い日本、強い経済、豊かで安全・安心な生活を実現することを目的として、中長期的視点から、あるべき税制のあり方について審議を求める。」としています。
具体的には、2015年11月にまとめられた「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理について」をもとに、個人所得課税、資産課税のあり方を中心に議論されるようです。
<税制のあり方の検討にあたっての論点>
○ 個人所得課税
・結婚して子どもを産み育てようとする若年層・低所得層に配慮する観点からの所得再分配機能の回復
⇒ 諸外国の制度等も参考にしながら、所得控除方式の5見直しを検討
・社会全体での家族の形成の支援
⇒「一次レポート」の選択肢(※)についてさらに検討を深化
・働き方の違いによって不利に扱われることのない中立性の確保
⇒ 家族構成などの人的な事情に応じた負担調整を行う「人的控除」の役割を高める方向で控除全体のあり方について検討
・老後の生活に備えるための自助努力に対する支援
⇒ 働き方・ライフコースに影響されない公平な制度の構築を念頭に幅広く検討
○ 資産課税
・資産再分配機能の適切な確保
・老後扶養の社会化の進展を踏まえた遺産の社会還元
⇒ 25年度改正の影響を見極めつつ検討
・「老老相続」の増加を踏まえ、資産移転の時期の選択により中立的な制度の構築について幅広く検討
(2016年9月9日開催政府税制調査会・配布資料より)