財務省は、ホームページに「租税特別措置の適用実態調査結果に関する報告書」を公表しました。この報告書は、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律第5条第2項に基づいて国会に提出されたものです。
平成22年度税制改正において、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」が制定され、租税特別措置の適用の実態を把握するための調査を行うことが規定されました。このため、法人税関係特別措置のうち税額又は所得の金額を減少させる規定等を適用する場合には、その法人が提出する法人税申告書に「適用額明細書」を添付し、税務署に提出する必要があります。
報告書によると、平成27年度に適用額明細書を提出したのは、前年度から約6%増の単体法人113万109法人、連結法人1,009法人の計約113万1千法人でした。
平成27年度における法人税関係特別措置の適用件数は、83項目について延べ174万2,796件(連結法人を含む)にのぼります。資本金階級別にみると、適用件数及び適用法人数はそれぞれ、「1,000万円以下」が134万931件、91万4,609法人で最も多く、次いで「1,000万円超3,000万円以下」が23万3,882件、12万8,806法人、「3,000万円超5,000万円以下」が8万6,868件、4万6,344法人となっています。
業種別にみると、適用件数及び適用法人数はそれぞれ、「サービス業」が44万7,074件、29万2,370法人で最も多く、次いで「建設業」32万3,583件、20万202法人、「製造業」25万7,291件、14万4,911法人、「不動産業」17万1,761件、13万6,448法人、「卸売業」15万6,371件、10万191法人、「小売業」15万5,222件、同10万6,332法人です。
所得階級別にみると、適用件数及び適用法人数はそれぞれ、「100万円超800万円以下」が54万4,429件、33万9,172法人で最も多く、次いで「100万円以下」34万6,136件、26万2,638法人となっています。その一方で、「0円または欠損」が31万3,204件、27万5,863法人と3位に入っています。租税特別措置を適用した結果、所得が0円または欠損となった法人もあると考えられます。
この結果を踏まえ、租税特別措置法の各項目のあり方が検討され、今後の税制改正に織り込まれます。