国税庁は10月5日、「財産評価基本通達」の一部改正と、この改正について解説した「あらまし(情報)」を公表しました。平成29年度税制改正大綱には、広大地の評価方法の改正と適用要件を明確化する旨が記載されており、改正案は7月までパブリックコメントに付されていました。
従来の広大地の評価では、個別の土地の形状等と関係なく、面積に応じて比例的に決まる広大地補正率により、減額が行われます。実際の土地取引では、土地の形状も取引価額に加味されるため、取引価額と相続税評価額に乖離が生じており、問題視されていました。また、広大地の評価の適用要件が相対的なものであったため、広大地に該当するか否かの判断が難しいという問題がありました。
そこで、従来の「広大地の評価」を廃止し、「地積規模の大きな宅地の評価」を新設。各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直し、土地の地区区分や都市計画法の区域区分等を基に適用要件の明確化を図る通達改正が行われました。
パブリックコメントで提示された当初の改正案から一部修正が加えられていますが、その修正は、パブリックコメントに寄せられた意見を踏まえて行われたものです。「市街地農地等について、財産評価基本通達20-2(地積規模の大きな宅地の評価)の適用はあるのか。」という問いに対し、国税庁では「市街地農地等が宅地であるとした場合に、財産評価基本通達20-2の定めの適用対象となるときには、・・・同通達20-2の定めを適用して計算します。」とし、その旨を通達に明記すると回答しています。
なお、地積規模の大きな宅地を評価する算式については、当初の案どおりです。
「地積規模の大きな宅地の相続税評価額=路線価×地積×補正率×規模格差補正率」