平成30年度税制改正により、事業承継税制に特例が創設されそうです。政府は、中小企業経営者の高齢化が進む中、半数以上が事業承継の準備を終えていないという現状を問題視していました。そこで、事業承継を促進するため、10年間の時限措置として、事業承継税制の特例を設けるようです。
事業承継税制とは、経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式等を、後継者が現経営者から相続又は贈与により取得し、一定の要件を満たした場合に、相続税・贈与税の納税が猶予される特例制度をいいます。現行の制度では、雇用の8割以上を5年間継続しなければならないなど要件が厳しく、相続においては実質納税猶予株式の53%しか対象とならないなど、適用できるケースが限定的でした。
本特例が創設されると、要件や対象などが大幅に緩和されます。
<改正のポイント>
・納税猶予の対象株式数の制限がなくなる。
・相続においても対象株式に係る相続税の全額が猶予される。
・雇用確保要件が大幅に緩和される。
・適用対象者の拡大により、承継パターンが多様化する。
・一定の要件を満たす納税猶予対象株式の譲渡、合併、解散等については
納付額の減免措置が講じられる。
・特例後継者が贈与者の推定相続人以外の者であっても
相続時精算課税制度の適用が可能となる。
本特例は、平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間に贈与等により取得する財産に係る相続税又は贈与税から適用される予定です。
詳しい改正内容及び実務上の留意点等は、 弊法人ホームページ「
平成30年度税制改正解説速報」 をご覧ください。
※ 本内容は、平成30年度税制改正大綱及び関連省庁の公表資料に基づいています。
今後の法令等により内容が変わる可能性がありますので、ご注意ください。