民法(相続法)の改正法案、国会提出へ
「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」が国会に提出されました。今回の改正案は、民法のうち相続法に関するものです。
相続法制については、昭和55年に配偶者の法定相続分の引上げや寄与分制度の創設等の見直しがされて以来、30年以上実質的な見直しはされていませんでした。その間に日本では、高齢化社会が進み、家族の在り方に対する考え方にも変化が見られるようになったことを踏まえ、相続法制の見直しについて議論されてきました。今回の改正法案には、議論をまとめた中間試案やパブリックコメントの結果が織り込まれています。
また、平成28年12月19日最高裁大法廷における「相続された預貯金債権について遺産分割の対象となる」旨の判断も、今回の改正の対象です。
< 改正法案の主な内容 >
民法の一部改正
配偶者居住権
遺産分割等に関する見直し
・婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の遺贈又は贈与
・遺産の分割前における預貯金債権の行使
・遺産の一部分割
・遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲
遺言制度に関する見直し
・自筆証書遺言の方式の緩和
・遺贈義務者の引渡し義務等
・遺言執行者の権限の明確化
遺留分制度の見直し
・遺留分の帰属及びその割合
・遺留分を算定するための財産の価額
・遺留分を算定するための財産の価額に算入する贈与の範囲
・負担付贈与がされた場合における遺留分を算定するための財産の価額に算入する贈与の価額等
・遺留分侵害額の請求
・受遺者又は受贈者の負担額
・遺留分侵害額請求権の期間の制限
相続の効力等に関する見直し
・共同相続における権利の承継の対抗要件
・相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使
・遺言執行者がある場合における相続人の行為の効果等
特別の寄与
この法律案の施行日は、「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」とされており、また配偶者の居住の権利については、「公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。この法律案が可決成立し、公布後施行されるまでに、関連する法律の整備も進められます。