経済産業省・中小企業庁は、2018年版中小企業白書・小規模企業白書を公表しました。
2018年版白書では、アンケート調査結果に併せて生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の事例について、昨年の倍以上となる113例が紹介され、中小企業・小規模事業者に生産性向上に向けたヒントを提供することを目指す実践的な白書となっているそうです。
2018年版白書を見ると、第1部では最近の中小企業の動向について、中小企業の経常利益は過去最高水準にあり、景況感も改善傾向であることが示されています。
第2部では、人手不足の現状を分析した上で、中小企業の生産性向上に向けた取組について分析が行われています。具体的には、業務プロセスの見直し、人材活用面の工夫、IT利活用、設備投資、M&Aを中心とする事業再編・統合について取り上げられています。第3部では、地域課題に対応しながら成長する小規模事業者やいわゆるフリーランス等の「新しい働き方」としての小規模事業者の事例が取り上げられています。
● 2018年版白書 10のポイント (現状分析)
1.中小企業の景況感は改善傾向にある一方、大企業との生産性格差は拡大 。
2.未来志向型の取引慣行に向けて、下請取引は着実に改善 。 (中小企業白書・テーマ別分析)
3.IT 導入等を行う上でも、業務プロセスの見直しは生産性向上の大前提。
4.幅広い業種で多能工化・兼任化の取組が進展。生産性向上にも寄与。
5.IT 導入のきっかけとして重要となるのは、地元のITベンダーなど身近な相談手。
6.業務領域や一企業の枠を超えて連携することでITの効果は飛躍的に高まる。
7.生産性向上のためには前向きな投資が重要。引き続き投資を促進する必要。
8.事業承継等を背景に、中小企業のM&Aは増加し、生産性向上に寄与。今後はマッチング強化が課題。 (小規模企業白書・テーマ別分析)
9.小規模事業者では、経営者に業務が集中。 IT導入等による経営者の業務効率化が急務。
10.小規模事業者へ施策を浸透させる上では、支援機関の役割が重要。
~中小企業庁調査室「2018年版中小企業白書・小規模企業白書概要」より~