全国の国税局が、平成29年度に強制調査(査察)で摘発した脱税事件は174件、脱税額は総額で135億円となったことが国税庁のまとめでわかりました(「平成29年度査察の概要」)。
公表データによると、平成29年度に全国の国税局査察部が着手した事案は174件、前年度の未処理事案と合わせて処理した件数は163件で、脱税総額は約135億900万円となりました。前年度と比べると脱税総額は25億9,700万円減少しています。
このうち検察庁に告発したのは113件(前年比19件減)となり、告発率は69.3%(同0.9ポイント増)となりました。検察庁に告発した脱税総額は、100億100万円(同26億9,100万円減)と前年と比べて減少しています。
税目別に告発件数をみると、法人税は61件(脱税総額56億4,500万円)と最も多く、全体の54%を占めています。次いで消費税27件(同17億6,800万円)、所得税が19件(同19億5,000万円)となっています。
脱税によって得た不正資金は、現金や預貯金、有価証券として留保されていたほか、居宅や太陽光発電所、高級外車、高級腕時計の取得費用、特殊関係人への援助資金、ギャンブル等の遊興費などに充てられていた事例もみられたようです。また、不正資金の一部が国外の預金口座で留保されるほか、国外のカジノでの遊興に費消していた事例もあったようです。
平成29年度中に、査察事件で一審判決が言い渡された件数は143件で、全てに有罪判決が出され、そのうち実刑判決が8人に出されました。実刑判決のうち最も重いものは懲役7年6月で、査察事件単独に係るものでは過去最高となりました。
国税庁は、平成 30 年度においては、査察制度の一罰百戒の効果が最大限に発揮できるよう、現下の経済社会情勢を踏まえ、特に
○ 消費税受還付事案
○ 無申告ほ脱事案
○ 国際事案
のほか、社会的関心が高く、近年の経済情勢に即した分野で、悪質な脱税が伏在する可能性の高い事案など、社会的波及効果が高いと見込まれる事案の積極的な着手・処理に取り組むとしています。