グループ内の株取引を巡り、約4000億円の申告漏れを指摘された大手コンピューターメーカーグループが、国を相手に課税処分の取り消しを求めた訴訟の判決が9日、東京地裁でありました。企業側の主張を全面的に認め、国側の1200億円の課税処分を取り消したようです。
報道によると、この大手コンピューターメーカーグループは、グループ会社内の株の売買で持ち株会社A社に損失を計上した後、企業グループを一つの企業とみなして申告納税をする「連結納税制度」を導入しました。その結果、A社損失とグループ内別企業の利益とが相殺され、グループの法人納税額が大幅に減少しました。
国側は、A社は実体のない持ち株会社で、一連の行為には法人税を免れる意図があったと指摘し、一連の行為は節税の限度を超えた制度の濫用に当たると主張していたようです。
これに対し裁判長は、税負担の軽減を目的とし、意図的に損失を出すという「事業目的のない行為」をしたとまではいえないとし、租税回避の意図があったとは認めがたく、課税処分は違法であると指摘したようです。
判決が確定すれば、国は還付加算金を含め千数百億円を支払うことになります。
なお、10年度の税制改正により法改正が行われたため、現在は同様の手法で"節税"することはできなくなっています。