税のトピックス

2014年6月16日

  • 法人税

東京国税局文書回答事例、「一般社団法人の基金について放棄を受けた場合の取扱い」

東京国税局文書回答事例、「一般社団法人の基金について放棄を受けた場合の取扱い」

国税庁は、ホームページに東京国税局の文書回答事例として「一般社団法人の基金について放棄を受けた場合の取扱い」を公表しました。東京国税局に、納税者から事前照会があり、その事前照会に回答したものです。

質問の内容は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(「一般社団・財団法人法」)第131条に規定する「基金」の拠出を受けた一般社団法人の「基金」の取扱いについてです。

一般社団法人における基金制度は、剰余金の分配を目的としないという一般社団法人の基本的性格を維持しつつ、その活動の原資となる資金を調達し、その財産的基礎の維持を図るための制度として、一般社団・財団法人法に規定が設けられています。

この「基金」は、一般社団・財団法人法の規定により一般社団法人に拠出された金銭その他の財産です。当該一般社団法人は、拠出者に対して同法及び当該一般社団法人と拠出者との間の合意の定めるところに従い返還義務を負います。一般社団・財団法人法では、基金制度の採用は義務付けられておらず、基金制度を採用するかどうかは、一般社団法人の定款自治によることとされています。

質問1.
この「基金」は基金の拠出者に対して返還義務を負うものですが、基金の拠出者との間で当該基金について将来にわたり弁済を要しないとの合意に至った場合、その弁済を要しないこととなった金額は、当法人においては債務免除益として課税対象になると解して差し支えないでしょうか。

回答1.
債務免除益を認識することとなると考えられます。
法人税の課税所得の計算上、益金の額には、無償による資産の譲受け等から生じた収益も含まれる旨が定められています。このため、債権者から債務の免除を受けたことにより生ずる債務免除益も広く益金に含まれると考えられます。当該法人の「基金」は「債務」として考えられますので、その基金について当該法人と基金の拠出者との間で基金を弁済しない合意に至った場合には、当該法人は債務の弁済義務が免除されることになりますので、当該法人において債務免除益を認識することとなると考えられます。

 

質問2.
この「基金」について貸借対照表上に「資本金」という科目で計上していますが、拠出者に対して返還義務を負うことからその性質は「債務」と考えますので、この基金の税務上の取扱いについては、「資本金の額又は出資金の額」には該当しないと解して差し支えないでしょうか。
(なお、当法人は、法人税法第2条第9号の2に規定する非営利型法人の要件を満たさないことから、法人税法上の普通法人に該当することを前提とします。)

回答2.
一般社団法人における「基金」は「債務」に該当すると考えられます。
基金の拠出者は、基金の返還を受ける権利を有しているものの、株式会社の株主又は持分会社の社員のように有限責任又は無限責任を負っているものではなく、また、基金の拠出について剰余金又は利益の配当を請求する権利、残余財産の分配を受ける権利及び社員総会における議決権又は法人の業務を執行する権利のいずれも有さないこととされています。
また、基金は破産手続開始の決定を受けた場合、拠出者において約定劣後破産債権に後れることとされていますので、債務と同様の性質を有しているものと認められます。
従って一般社団法人における当該基金は、「資本金の額又は出資金の額」に該当せず、「債務」に該当すると考えられます。

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