全国の国税局が、13年度に強制調査(査察)で摘発した脱税事件は185件、脱税額は144億円に上ったことが国税庁のまとめでわかりました(平成25年度査察の概要)。
公表データによると、13年度に全国の国税局査察部が着手した事案は185件、前年度の未処理事案と合わせて処理した件数は185件で、脱税総額は約144億6千万円となりました。前年度と比べると、着手件数、処理件数、脱税総額すべて減少しており、1件当たりの脱税額も7,800万円(前年比2,900万円減)と減少しています。
このうち検察庁に告発したのは118件(同11件減)で、告発率は63.8%(同3.7ポイント減)となりました。脱税総額は117億3,100万円(同57億3,500万円減)、1件当たりの脱税総額も9,900万円(同3,600万円減)と前年と比べて減少しています。脱税額3億円以上の大口事案が、前年度の11件から4件に減少した影響も大きいようです。
脱税によって得た不正資金は、現金や預貯金、有価証券として留保されていたほか、高級外車や別荘の購入、遊興費、FX取引等の投資に充てられていた例も見られたようです。また、この不正資金を床下貯蔵庫に置かれた段ボール内の金庫に現金を隠していた事例もあったようです。
業種別に告発件数を、「クラブ・バー」の12件が最も多く、特にホステス報酬に係る源泉所得税について徴収していたにもかかわらず納めていなかったものが多く見受けられました。顧客から受領した飲食代金に係る消費税について、申告書を一切提出しない方法で不正に納付を免れていた事例もあったそうです。次に「不動産業」9件、「建設業」5件と続いています。
税目別にみると、法人税は64件(脱税総額53億5,400万円)と最も多く、全体の54%を占めています。次いで所得税18件(同20億2,700万円)、消費税が16件(同9億11,100万円)となっています。
なお、同年度に査察事件で判決が下された一審判決の件数は116件、うち115件について有罪判決、9人に実刑と厳しい判決が下されています。