経産省は、8月15日に「中小企業の雇用状況に関する調査・地域の中核を担う中堅・中小企業等における賃上げ等の取組に関する調査の概要」を公表しました。調査の集計結果をみると、何らかの賃上げを行った中小企業・小規模事業者の割合は65%にのぼっています。
この調査は、平成26年の中小企業・小規模事業者における賃上げ状況を含む雇用状況等を把握するために、本年6月に中小企業・小規模事業者3万社を対象に行ったものです。調査票の提出のあった10,380社の状況について集計しています。
調査票の設問には、「所得拡大促進税制の利用について」聞いたものがあります。この設問は、他の設問とは異なり、「平成25年度または平成26年度のいずれかで賃上げを実施した企業で、平成25年度または平成26年度のいずれかで法人税を納付した企業」に対象を絞って調査しています。
調査結果をみると、実際に所得拡大促進税制を「利用した」企業が6.3%、「知っていたが利用していない」企業が39.1%でした。一方、「知らなかった」と回答した企業は32.6%でした。従業員規模別にみると、所得拡大促進税制の認知度(利用した+知っていたが利用していない)は、従業員数が20人以下の企業においては27.7%にとどまる一方で、従業員数が100人超の企業においては54.9%と半数を超えています。また従業員数が100人超の企業は7.4%の企業が利用しています。
また、設問「復興特別法人税の前倒し廃止や所得拡大促進税制の創設・拡充が賃金引き上げ判断に及ぼした影響」では、制度が「判断を後押しした」とする企業の割合が7.7%にとどまる一方、「判断を後押ししたとは思わない」とする企業は74.1%でした。
経産省では、平成26年4月に要件緩和がなされたことから、「今後更に利用が進むことが考えられる。」と期待を寄せています。