財務省のホームページに、平成27年度税制改正に対する各省庁の要望が公表されました。各省庁の要望数を単純合計しますと、減税が211、廃止・縮減が7となります。最も要望数が多かったのは、国土交通省(国交省)の37、厚生労働省と経済産業省が34と続いています。
各省庁の要望は、平成26年度で期限切れとなる措置の拡充・延長が中心ですが、今回は「高齢者の所有する資産」を若年層に移動させ、経済活性化を図るための施策への要望が目立ちます。
国交省の要望内容を見ると、住宅取得資金贈与特例の拡充・延長を要望しています。住宅取得資金贈与の特例とは、20歳以上の子や孫が親や祖父母など直系尊属からの贈与により住宅を取得等した場合、一定額までの贈与を非課税とする制度です。平成26年中の贈与に対する非課税枠は、省エネや耐震性などに優れた住宅の場合は1000万円、その他の住宅は500万円となっており、何の手当てもされなければ今年いっぱいで期限切れを迎えます。要望では、非課税枠を最大3千万円まで拡充した上で、期限を3年間延長するよう求めています。
金融庁の要望内容には、ジュニアNISA(仮称)の創設があります。ジュニアNISAが創設されると、0歳から19歳の未成年者のNISA口座開設が可能となります。金融庁は、高齢者層が若年層へジュニアNISA口座用の資金を贈与すると期待しています。
文部科学省(文科省)の要望には、教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置の拡充・延長等があります。同制度は平成27年12月31日までの時限措置となっていますが、文科省ではこの制度の恒久化と、非課税対象範囲の拡大や手続等の簡素化を要望しています。また、直系尊属以外から贈与を受けた場合にも贈与税非課税の対象とし、高齢者世代の保有する資産が移転するよう改正を要望しています。
各省庁の要望が出そろうと、いよいよ税制改正の議論が始まります。今後の税制改正の議論の行方が注目されます。