国税庁は、年金払いの生命保険金に関する受給権の相続税評価について、取扱いを変更するとホームページ上で公表しました。これは、平成25年12月19日に判決があり、本年9月に確定した東京高裁の判決を受けて行われたものです。
従来は、年金の方法により支払いを受けることが定められた生命保険契約で、相続開始の時において、年金の種類、年金の支払期間、支払金額の総額、一年間に支払いを受けるべき金額等が定まっていない場合には、その保険金の支払請求権(受給権)について相続税法第24条(改正前の同条規定を含む。)を適用せず、同法第22条の規定に基づきその保険金を一時金で支払いを受ける場合の金額により評価することとして取り扱われてきました。
取扱い変更後は、契約者が年金の方法により死亡保険金の支払を受ける契約を締結し、かつ、死亡保険金の支払事由の発生後に死亡保険金の受取人が年金の種類、受給期間等を指定することが契約により予定されている場合には、その保険金の受給権の価額については、受取人が相続開始後、確定した年金の種類等を基礎として相続税法第24条の規定を適用して算定されます。
相続開始の時において、年金の種類等が定まっていない場合の保険金の受給権
【従 来】保険金を一時金で支払いを受ける場合の金額により評価
【変更後】相続税法第24条「定期金の権利の評価」を適用
なお、この変更後の取扱いは過去に遡って適用されます。従って、この取扱いの変更により、過去の相続税や贈与税が納めすぎとなる場合には、取扱い変更を知った日の翌日から2ヵ月以内に更正の請求をすることにより還付を受けられる場合があります。
ただし、「法定申告期限から既に5年を経過している年分の相続税」及び「法定申告期限から既に6年を経過している年分の贈与税」については法令上、減額できないこととされていますので注意が必要です。