空き家対策のための特別措置法が26日に全面施行されました。この措置法が制定された背景には、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要とされたことにあります。実際に、倒壊の恐れなどがある危険な空き家は、全国に820万戸あると言われています。この措置法の施行により、市町村は、危険な空き家に対し、除去や修繕などの命令や強制執行ができるようになりました。
この措置法の適用対象となる危険な空き家とは、倒壊の恐れなどがあるとして、市町村が認定する「特定空き家」をいいます。具体的には、(1) 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、(2) 著しく衛生上有害となるおそれのある状態、(3) 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態、(4) その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあるとして、市町村が認定した空家等が該当します。
税制面でも空き家対策を促す施策が講じられています。住宅の敷地に対する固定資産税は、更地の6分の1(最大)に減額するという優遇措置がありますが、平成27年度税制改正により「特定空き家」として勧告された家屋の敷地は対象外となりました。改正前は、家の撤去に費用がかかった上、固定資産税の負担も増えるため、空き家が放置される誘因となっていました。固定資産税の優遇措置の改正は、空き家のまま放置せずに、売却や賃貸等の有効活用を検討する動議づけとなるかもしれません。