国税庁・国税不服審判所は、「平成26年度における異議申立ての概要」「平成26年度における審査請求の概要」「平成26年度における訴訟の概要」を公表しました。
国税に関する処分について納税者に不服がある時の救済制度には、処分庁に対する「異議申立て」、国税不服審判所長に対して不服を申し立てる「審査請求」(不服申立制度)と、裁判所に「訴訟」を提起して処分の是正を求める救済制度があります。
このうち「異議申立て」は、税務署長などが更正・決定や差押えなどの処分をした場合に、その処分に不服がある納税者が税務署長などに対してその処分の取消しや変更を求める手続きをいいます。「審査請求」は異議申立てによる決定を経た後の処分になお不服がある場合等に、その処分の取消し等を求めて国税不服審判所長に対して申し立てる手続です。
各概要を見ると、平成26年度の課税処分に対して納税者が起こした異議申立ては2755件で、前年度と比べると16.8%増加しています。また、異議申立てが認められずに国税不服審判所に審査請求したケースは、同比28.9%減の2033件と過去最低水準に、訴訟となったのは同比18.3%減の237件でした。
納税者の主張が何らかの形で受け入れられた割合をみると、異議申立てでは9.3%で前年度より0.7ポイント減少しています。審査請求では¥8.0%と前年度より0.3ポイント増加しているものの、訴訟では、認められた割合が6.8%と前年度を0.5ポイント下回っています。
国税不服審判所に審査請求した件数は、過去最低水準となる一方、納税者の主張が認められる率がわずかながら増加しており、今後の動向が注目されます。