全国の国税局が、平成26年度に強制調査(査察)で摘発した脱税事件は194件、脱税額は約150億円となったことが国税庁のまとめでわかりました(「平成26年度査察の概要」)。
公表データによると、26年度に全国の国税局査察部が着手した事案は194件、前年度の未処理事案と合わせて処理した件数は180件で、脱税総額は約149億7千5百万円となりました。前年度と比べると、処理件数は減少したものの、脱税総額は増加しており、1件当たりの脱税額も8,300万円(前年比500万円増)と増加しています。
このうち検察庁に告発したのは112件(同6件減)と前年度と比べ減少しています。告発率も62.2%と同1.6ポイント減となりました。一方、脱税総額は123億4,600万円(同6億1,500万円増)、1件当たりの脱税総額も1億1,000万円(同1,100万円増)と前年と比べて増加しています。脱税額3億円以上の大口事案が、前年度の4件から6件に増加した影響も大きいようです。
脱税によって得た不正資金は、現金や預貯金、有価証券として留保されていたほか、高級外車や腕時計の購入、遊興費、特殊関係人に対する資金援助や老人ホームの入居権利金などに充てられていた事例も見られたようです。また、この不正資金の一部が海外の預金で留保されていた事例や海外のカジノで費消されていた事例もあったようです。
業種別に告発件数をみると、「不動産業」の16件が最も多く、次に、「クラブ・バー」10件、「建設業」8件と続いています。また国税庁は、雑誌に虚偽・誇大な広告を掲載し、関連グッズの通信販売や高額の祈祷サービスを電話で提供する、いわゆる「開運商法」など事業活動自体が社会問題化した業種についても積極的に告発したとしています。
税目別にみると、法人税は69件(脱税総額75億3,400万円)と最も多く、全体の61%を占めています。次いで所得税18件(同18億2,900万円)、消費税が13件(同11億3,000万円)となっています。
なお、同年度に査察事件で判決が下された一審判決の件数は98件、うち96件について有罪判決、11人に実刑と厳しい判決が下されています。