平成27年度に創設された地方拠点強化税制の適用が、29年度までの3年間で74件にとどまっていることがわかったという報道がありました。
地方拠点強化税制とは、企業が、本社機能を東京23区から地方に移すか、地方に元々ある拠点を拡充した場合に法人税の優遇を認める制度です。地方での設備投資に対する減税(オフィス減税)と雇用数増加に対する減税(雇用促進税制)の2種類があります。
内閣府の資料を見ると、平成27年度から29年度までの3年間で、オフィス減税は55件、雇用促進税制は19件、合計74件の利用にとどまっており、当初掲げていた「5年間で7,500件」には遠く及ばない状況です。
内閣府は、「達成目標を実現するためには、本税制だけでなく、関連施策を総動員し、総合的に取り組む必要がある」としたうえで、「本税制は、企業の本社機能の地方移転や地方拠点の強化を図ることによって、地方において雇用を創出しようとする重要な政策手段の一つである」として、制度の適用期限延長を要望しています。
政府機関の地方移転が、文化庁以外に全面的な移転は実現していないことを鑑みると、税制優遇だけで企業の地方移転を促すことは難しく、東京一極集中の是正には時間がかかりそうです。