財務省は、ホームページに「租税特別措置の適用実態調査結果に関する報告書」を公表しました。この報告書は、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律第5条第2項に基づいて国会に提出されたものです。
平成22年度税制改正において、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」が制定され、租税特別措置の適用の実態を把握するための調査を行うことが規定されました。このため、法人税関係特別措置のうち税額又は所得の金額を減少させる規定等を適用する場合には、その法人が提出する法人税申告書に「適用額明細書」を添付し、税務署に提出する必要があります。
平成30年4月1日から平成31年3月31日までの間に終了した事業年度等(30年度)において、適用額明細書の提出があった法人は、1,268,855法人で、適用件数は延べ1,984,486件となっています。
業種別にみると、適用件数及び適用法人数はそれぞれ、「サービス業」が516,748件、333,215法人で最も多く、次いで「建設業」383,802件、230,117法人、「製造業」283,058件、157,312法人、「不動産業」212,518件、165,308法人、「卸売業」167,915件、105,986法人、「小売業」158,378件、同108,012法人です。
個別措置の適用状況をみると、「中小企業者等の法人税率の特例」の適用法人数が最も多く、960,103法人となっています。次いで「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」で549,940法人が利用しています。
一方、利用頻度が低い措置もあります。財務省では、この報告書の結果を踏まえ、租税特別措置法の各項目のあり方を検討し、今後の税制改正に織り込ます。令和2年度税制改正では、情報流通円滑化設備の特別償却(30年度適用件数0件)、金属鉱業等鉱害防止準備金制度(同4件)、革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却(同9件)又は法人税額の特別控除(同17件)が適用期限の到来をもって廃止される予定です。