国税庁は、令和2年度税制改正に係る「消費税法基本通達等の一部改正等について(法令解釈通達)」をホームページに公表しました。
令和2年度税制改正に係る消費税の主な改正は、以下の3項目です。
1.法人に係る消費税の申告期限の特例の創設
2.居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除制度の見直し
3.貸付けに係る用途が明らかにされていない場合の課税の見直し
本改正通達では、これらの改正項目に関する取扱い等について示しています。
1.法人に係る消費税の申告期限の特例の創設
令和2年度税制改正により、法人について、消費税の確定申告書の提出期限の特例(1か月の延長)が創設されました(参考:弊法人HP「
法人に係る消費税の申告期限の特例の創設」)。
本改正通達では、法人税の申告期限の延長特例の適用を受けていない場合には、法人税の申告期限の延長届出書を同時に提出することにより、消費税の申告期限の延長届出書を提出できる旨を明らかにしています。
また、被合併法人・分割法人が消費税の延長届出書を提出していても、その届出の効力は、事業を承継した合併法人・分割承継法人には及ばないため、延長特例の適用を受けるためには、新たに延長届出書を提出しなければならない、としています。
2.居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除制度の見直し
令和2年度税制改正により、居住用賃貸建物( 住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって、高額特定資産に該当するもの )の課税仕入れについて、仕入税額控除の適用を認めないこととされました(参考:弊法人HP「
居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除制度の見直し」)。
本改正通達では、居住用賃貸建物に該当しない「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物」を例示しています。
建物の構造及び設備の状況その他の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかなものをいい、例えば、次に掲げるようなものがこれに該当する。
⑴ 建物の全てが店舗等の事業用施設である建物など、建物の設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物
⑵ 旅館又はホテルなど、旅館業法第2条第1項《定義》に規定する旅館業に係る施設の貸付けに供することが明らかな建物
⑶ 棚卸資産として取得した建物であって、所有している間、住宅の貸付
3.貸付けに係る用途が明らかにされていない場合の課税の見直し
契約上用途が明らかでない住宅の貸付けについて、改正前はすべて消費税を課税としていましたが、令和2年度税制改正により、貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合には、消費税を非課税とすることになりました(参考:弊法人HP「住宅の貸付けに係る用途が明らかにされていない場合の課税の見直し」)。
本改正通達では、「貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合」について、例示しています。
住宅の貸付けに係る契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合に当該貸付けに係る賃借人や住宅の状況その他の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合をいうのであるから、例えば、住宅を賃貸する場合において、次に掲げるような場合が該当する。
⑴ 住宅の賃借人が個人であって、当該住宅が人の居住の用に供されていないことを賃貸人が把握していない場合
⑵ 住宅の賃借人が当該住宅を第三者に転貸している場合であって、当該賃借人と入居者である転借人との間の契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合
⑶ 住宅の賃借人が当該住宅を第三者に転貸している場合であって、当該賃借人と入居者である転借人との間の契約において貸付けに係る用途が明らかにされていないが、当該転借人が個人であって、当該住宅が人の居住の用に供されていないことを賃貸人が把握していない場合
住宅の貸付けに係る契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合に当該貸付けに係る賃借人や住宅の状況その他の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合をいうのであるから、例えば、住宅を賃貸する場合において、次に掲げるような場合が該当する。
⑴ 住宅の賃借人が個人であって、当該住宅が人の居住の用に供されていないことを賃貸人が把握していない場合
⑵ 住宅の賃借人が当該住宅を第三者に転貸している場合であって、当該賃借人と入居者である転借人との間の契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合
⑶ 住宅の賃借人が当該住宅を第三者に転貸している場合であって、当該賃借人と入居者である転借人との間の契約において貸付けに係る用途が明らかにされていないが、当該転借人が個人であって、当該住宅が人の居住の用に供されていないことを賃貸人が把握していない場合