税のトピックス

2020年6月15日

  • その他

【公益法人トピックス】公益法人等と持続化給付金

【公益法人トピックス】公益法人等と持続化給付金

1.はじめに

 持続化給付金は、新型コロナウイルス感染症により事業活動に影響をうけている中小法人等を支援する給付金です。営利企業に限られず、非営利型の一般社団法人・一般財団法人、公益社団法人・公益財団法人(以下公益法人等という)も対象となります。 ただし、事業活動によって得られた収入が減少することが条件となっていますので、 公益法人等においては、 寄付金、補助金、助成金、金利収入等(以下寄付金収入等という)が減少したというだけでは給付を受けることはできません。

    

2.給付対象者

 公益法人等についても他の法人類型と同様に、下記を満たすことが条件となっています。(持続化給付金給付規程(中小法人等向け)第4条)。 公益法人等にとってはちょっとわかりづらい条件になっていますので、慎重に判断・確認をすることが肝要です。

1) 2020年4月1日時点において、次の(1)(2)のいずれかを満たす法人であること
 (ただし一般社団法人については、その直接又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が個人又は次の(1)(2)のいずれかを満たす法人であることが必要です)。

(1)資本金の額又は出資の総額が10億円未満(※)であること
(2)資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は常時使用する従業員の数が2000人以下であること。
(※)一般財団法人については「当該法人に拠出されている金額」と読み替える。

 

2) 2019年以前から事業により事業収入(※)を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
 (※)事業収入は、確定申告書別表第一における「売上金額」に記載されるものと同様の考え方によるものとします。
3) 2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(対象月)があること。

    

3.公益法人等の特例

 公益法人等は、公益法人会計基準という企業会計とは異なる会計基準を採用しているケースが多く、決算書の様式が特徴的です。また、収益事業を行っていないため法人税の納税義務がない法人も多くあります。一見すると、上記2)3)の要件を満たさないような印象がありますが、このような公益法人等でも持続化給付金を受けられるように、申請書類や給付額計算に関する特例が設けられています。

(1)証拠書類の提出
  確定申告書類の控えの代わりに、「正味財産増減計算書」を提出することが出来ます。
(2)月次の収入の比較について
  「正味財産増減計算書」では前事業年度の月次の収入が確認できませんが、その代わりに、「対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間収入の月平均」と「対象月の月間収入」を比較する方法が認められます。
(3)給付額の算定のもととなる収入の範囲
  給付額の算定式は株式会社等と同じです。
   【給付額の算定式】
     S=A-B×12
      S:給付額(上限200万円)
      A:対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間収入
      B:対象月の月間収入
 ただし、このAとBの算定の対象となる収入の範囲が、株式会社等とは異なります。
  公益法人等では、寄付金収入等の株式会社等でいう営業外収益にあたるものが主な収入であることが少なくありませんが、これらの寄付金等はAとBの計算に含めることが出来ません。寄付金等以外の法人の事業活動によって得られた収入のみがAとBの計算の対象になります。

    

4.おわりに

 公益法人等であっても所定の条件を満たせば、持続化給付金を受け取れる可能性があります。

 また、 今要件を検討して条件を満たさない場合であっても、 申請期間は令和2年5月1日から令和3年1月15日までですので、数か月後にもう一度検討すると条件を満たすという可能性もあります。

 公益法人等の方も、まずは検討してみてはいかがでしょうか。

※ 本記事は2020年6月15日時点で持続化給付金ホームページに掲載されている「中小法人等向け持続化給付金申請要領(申請のガイダンス)」「中小法人等向け持続化給付金申請規程」「中小法人等向け持続化給付金給付規程」によっています。 (https://www.meti.go.jp/covid-19/jizokuka-kyufukin.html/

(文責:法人部 大城 陵司)

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