全国の国税局が、令和元年度に強制調査(査察)で摘発した脱税事件は150件、脱税額は総額で約120億円となったことが国税庁のまとめでわかりました(「令和元年度査察の概要」)。
公表データによると、令和元年度に全国の国税局査察部が着手した事案は150件、前年度の未処理事案と合わせて処理した件数は165件で、脱税総額は119億8,500万円となりました。前年度と比べると脱税総額は20億1,400万円減少しています。
このうち検察庁に告発したのは116件(前年比5件減)となり、告発率は70.3%(同3.8ポイント減)となりました。検察庁に告発した脱税総額は、92億7,600万円(同19億円減)と前年と比べて減少しています。
税目別に告発件数をみると、最も多い税目は法人税の64件(脱税総額56億3,600万円)です。次いで消費税の件数は32件(同19億7,500万円)、所得税17件(同16億700万円)となっています。
また、国税庁では、近年市場が拡大する分野や時流に即した脱税事案など、社会的波及効果が高いと見込まれる事案に対して積極的に取り組んだそうです。具体的には、インターネット広告会社や消費税還付コンサルにより多額の利益を得た税理士の告発などが事例として紹介されています。
国税庁は国際事案にも積極的に取り組み、国外財産調書制度の導入後、初めて同調書の不提出犯を告発しています。
国税庁では、近年における経済取引の広域化、国際化及びICT化等による脱税の手段・方法の複雑・巧妙化など、経済社会情勢の変化に的確に対応し、悪質な脱税者に対して適正な調査を実施していくとしています。