国土交通省は3月23日、令和3年1月1日時点の公示地価を公表しました。
公示地価とは、土地取引における特殊な事情などが取り除かれた、自由な取引において通常成立すると考えられる1平方メートル当たりの価格を示します。昭和45年の調査開始以来、今回で52回目を迎えており、全国26,000地点を対象に実施されました。
公示地価の決定は、まず1地点について不動産の鑑定評価の専門家である2人の不動産鑑定士が各々別々に現地を調査し、最新の取引事例やその土地からの収益の見通しなどを分析して評価を行います。さらに、地点間や地域間のバランスなどを検討し、国土交通省の土地鑑定委員会が最終的に決定しています。8月頃、国税庁より公表される相続税路線価は、相続税及び贈与税の算定基準となる土地評価額ですが、公示地価の8割程度が目安とされています。
公示地価の全国平均では、全用途平均が平成27年以来6年ぶりに下落に転じました。用途別では、住宅地は5年ぶりに、商業地は7年ぶりに下落に転じています。
三大都市圏でも、全用途で下落に転じています。地方圏では、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では上昇を継続したものの、地方四市を除いた地域では全用途において下落しました。
用途別にみると、住宅地よりも商業地により大きな下落傾向が見られます。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により、店舗やホテルの需要減退、先行き不透明感から需要者が価格に慎重な態度となったことが背景にあると見られます。特に、国内外の来訪客増加による店舗、ホテル需要でこれまで上昇してきた地域や、飲食店が集積する地域では、比較的大きな下落が見られます。
一方、三大都市圏の中心部から離れた商業地や地方圏の路線商業地など日常生活に必要な店舗等の需要を対象とする地域では、上昇地点も見られ、昨年からの変動率の変化は比較的小さくなっています。
個別地点の価格等については、標準地・基準地検索システムに掲載されていますので、詳細をお知りになりたい方は、こちらをご覧下さい。