国税庁・国税不服審 国税庁・国税不服審判所は、「令和2年度における再調査の概要」「令和2年度における審査請求の概要」「令和2年度における訴訟の概要」を国税庁ホームページに公表しました。
国税に関する処分について納税者に不服がある時の救済制度には、処分庁に対する「再調査の請求(旧 異議申立て)」、国税不服審判所長に対して不服を申し立てる「審査請求」(不服申立制度)と、裁判所に「訴訟」を提起して処分の是正を求める救済制度があります。
このうち「再調査の請求」は、税務署長などが更正・決定や差押えなどの処分をした場合に、その処分に不服がある納税者が税務署長などに対してその処分の取消しや変更を求める手続きをいいます。国税不服申立制度の改正により、平成28年4月1日以後に行われる処分に係る不服申立てから「異議申立て」は「再調査の請求」へ名称変更されています。
「審査請求」は税務署長や国税局長などが行なった処分に不服がある場合に、その処分の取消し等を求めて国税不服審判所長に対して不服を申し立てる制度です。
各概要を見ると、令和2年度の課税処分に対して納税者が起こした再調査の請求は1,000件で、前年度と比べると26.4%減少しています。また、国税不服審判所に審査請求したケースは、同比13.0%減の2,229件、訴訟となったのは同比26.0%減の165件でした。
訴訟の発生件数を税目別にみると「所得税」が最も多く56件、「法人税」37件、「相続税贈与税」「徴収関係」24件と続きます。「所得税」は税目の中では件数が多いものの、平成23年度の144件(構成比36.8%)から令和2年度 56件(同比33.9%)と、件数は減少しています。法人税も、平成23年度の84件(構成比21.5%)から令和2年度 37件(同比22.4%)と減少しています。
納税者の主張が何らかの形で受け入れられた割合を各概要でみると、再調査の請求では10.0%で前年度より2.4ポイント減少しています。審査請求では10.0%と前年度と比べ3.2ポイント減少し、訴訟では認められた割合が7.8%(14件、うち一部認容7件、全部認容7件)とやはり前年度を1.9ポイント下回っています。
いずれも大きな減少ではありませんが、納税者の主張が認められる割合が減少しているのは気になるところです。