会計検査院は、「令和2年度決算検査報告書」を内閣に送付しました。決算検査報告とは、会計検査院が1年間に実施した会計検査の成果を明らかにした報告書です。
この検査報告には、令和2年度の歳入歳出決算、政府関係機関の収入支出決算などに関する会計検査の成果が収録されています。検査報告書は、検査が済んだ決算とともに内閣に送付され、内閣から国会に提出されます。そして、国会で決算審査を行う場合の重要な資料となるほか、財政当局などの業務執行にも活用されています。
報告書をみると、財務省に対して、税金の徴収額に総額1億5,492万円の過不足があると指摘しています。42税務署において納税者52人から税金を徴収するに当たり、徴収額が不足していたものが52事項1億5,492万円(平成25年度から令和2年度まで)となっています。
徴収の不足額を税目別にみると、最も多い法人税が21事項5,086万円、次いで消費税が14事項4,636万円、以下、申告所得税14事項4,381万円、相続税・贈与税は3事項1,389万円となっています。
また、会計検査院は「申告不要配当特例等を適用している個人株主が上場会社から支払を受けた配当に係る課税の状況等について」、3,749人を対象に検査を行っています。そのうち122人について、実際は持株割合が3%以上になっているにも関わらず、3%未満として申告不要配当特例等を適用して申告しており、調査年度2年間の合計で13億4,880万円の税差が生じているという報告がありました。
会計検査院は、これでは持株割合が3%以上として申告している大口個人株主との間で課税の公平性が保たれていないとして問題視しており、今後、財務省が申告不要配当特例等の適用範囲が適切なものとなるよう検討を行っていくことが肝要であるとしています。今後の税制改正に影響を与えそうです。