国税庁は、ホームページに「令和2事務年度における相続税の調査等の状況」を発表しました。令和2事務年度に実施した、相続税の調査の状況をまとめたものです。
相続税の実地調査は、資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告であると想定される事案等に対して実施されました。
調査件数5,106件(前年比△52.0%)のうち、申告漏れ等があった件数は4,475件(同比△50.7%)で、87.6%の高い割合で申告との非違が生じています。令和2事務年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、実地調査件数は⼤幅に減少していますが、 ⼤⼝・悪質な不正が⾒込まれる事案を優先して調査し たそうです。
申告漏れがもっとも多かった相続財産は、現金・預貯金等、続いて有価証券、土地の順になっています。
今回の相続税の調査結果では、無申告事案が462件、申告漏れ課税価格が455億円把握されています。また、1件当たりの申告漏れ課税価格は9,848万円、相続税調査全体の約2.8倍と大変高い数字になっています。1件当たりの追徴税額は1,328万円(同比+48.2%)と増加し、無申告事案に対する実地調査1件当たりの追徴税額の集計を始めた平成21事務年度以降で最高となりました。
一方、海外資産関連事案に係る調査については、実地調査件数が551件(同比△45.3%)、そのうち申告漏れ等があった件数は96件(同比△35.6%)となっています。1件当たりの申告漏れ課税価格は3,579万円(同比△31.1%)です。
国税庁では、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などを効果的に活用し、海外取引や海外資産の保有状況の把握につとめているそうです。