国税庁・国税不服審判所は、「令和3年度における再調査の概要」「令和3年度における審査請求の概要」「令和3年度における訴訟の概要」を国税庁ホームページに公表しました。
国税に関する処分について納税者に不服がある時の救済制度には、処分庁に対する「再調査の請求(旧 異議申立て)」、国税不服審判所長に対して不服を申し立てる「審査請求」(不服申立制度)と、裁判所に「訴訟」を提起して処分の是正を求める救済制度があります。
このうち「再調査の請求」は、税務署長などが更正・決定や差押えなどの処分をした場合に、その処分に不服がある納税者が税務署長などに対してその処分の取消しや変更を求める手続きをいいます。国税不服申立制度の改正により、平成28年4月1日以後に行われる処分に係る不服申立てから「異議申立て」は「再調査の請求」へ名称変更されています。
「審査請求」は税務署長や国税局長などが行なった処分に不服がある場合に、その処分の取消し等を求めて国税不服審判所長に対して不服を申し立てる制度です。
各概要を見ると、令和3年度の課税処分に対して納税者が起こした再調査の請求は1,119件で、前年度と比べると11.9%増加しています。また、国税不服審判所に審査請求したケースは、同比11.0%増の2,482件、訴訟となったのは同比13.3%増の187件となり、いずれも前年と比べて増加しました。
訴訟の発生件数を税目別にみると「所得税」が最も多く59件、「法人税」40件、「消費税」25件と続きます。「所得税」は税目の中では件数が多いものの、訴訟件数が多かった平成23年度144件と比べると、件数は大幅に減少しています。「法人税」の件数も、平成23年度84件から半減しています。
※ 国税不服審判所が令和4年12月23日、「令和3年度における審査請求の概要」の一部訂正を行ったため、訂正に基づき数値を直接修正しました(文中、太字個所)。