総務省は、「ふるさと納税に関する現況調査結果の概要」を取りまとめ、ホームページに公表しました。
この調査は、市区町村を対象に、令和4年1月から12月までの間に行われたふるさと納税について、令和5年6月1日時点の控除の適用状況をまとめたものです。
ふるさと納税は、生まれ故郷や応援したい地方自治体に寄付すると住民税などが控除される制度です。
調査結果をみると、ふるさと納税の受入額は総額で9,654億円と、前年度と比べると16.3%増加しています。受入件数は5,184万件、同比16.6%増加しています。
ふるさと納税に係る住民税控除額は、6,798億円(対前年度比+18.9%)、適用者数は891万人、同比19.4%増とこちらも増加しています。このうち、52.2%の465万人が「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の適用を受けています。前年度50.3%から1.9ポイント上昇しました。この特例制度もすっかり定着したようです。
都道府県別にみると、東京都からのふるさと納税控除額は1,690億円、神奈川県708億円、大阪府549億円と、大都市部から住民税が流出しています。流出額が膨らむと行政サービスに影響が出かねない、と懸念する大都市部の自治体もあります。
一方、受け入れ額が最も多かった自治体は、宮崎県都城市196億円、北海道紋別市の194億円、北海道根室市176億円と続いています。
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」
ふるさと納税については、自治体間の競争が過熱し、制度の趣旨に大きく外れるケースがあったことからルール改正が行われてきました。さらに総務省では、令和5年10月1日より、ふるさと納税の経費ルール(募集適正基準)と、返礼品として認める地場産品の基準を見直すことを公表しています。
- 募集に要する費用について、ワンストップ特例事務や寄附金受領証の発行などの付随費用も含めて寄附金額の5割以下とする(募集適正基準の改正)
- 加工品のうち熟成肉と精米について、原材料が当該地方団体と同一の都道府県内産であるものに限り、返礼品として認める(地場産品基準の改正)
この基準に適合しているかどうかは、指定対象期間(10月1日から翌年9月30日)を通じて判断され、指定対象期間において基準を満たさなかった場合には、次の指定対象期間において、指定取消しの対象となり得ます。一度取消しをされると2年間は復帰できないため、自治体も慎重な対応が必要です。