国税庁・国税不服審判所は、「平成29年度における再調査の概要」「平成29年度における審査請求の概要」「平成29年度における訴訟の概要」を公表しました。
国税に関する処分について納税者に不服がある時の救済制度には、処分庁に対する「再調査の請求(旧 異議申立て)」、国税不服審判所長に対して不服を申し立てる「審査請求」(不服申立制度)と、裁判所に「訴訟」を提起して処分の是正を求める救済制度があります。
このうち「再調査の請求」は、税務署長などが更正・決定や差押えなどの処分をした場合に、その処分に不服がある納税者が税務署長などに対してその処分の取消しや変更を求める手続きをいいます。国税不服申立制度の改正により、平成28年4月1日以後に行われる処分に係る不服申立てから「異議申立て」は「再調査の請求」へ名称変更されています。
「審査請求」は税務署長や国税局長などが行なった処分に不服がある場合に、その処分の取消し等を求めて国税不服審判所長に対して不服を申し立てる制度です。
各概要を見ると、平成29年度の課税処分に対して納税者が起こした再調査の請求は1,814件で、前年度と比べると8.4%増加しています。また、国税不服審判所に審査請求したケースは、同比18.7%増の2,953件、訴訟となったのは同比0.5%減の199件でした。訴訟の発生件数は6年連続で減少しており、平成に入ってから最少となっています。
納税者の主張が何らかの形で受け入れられた割合をみると、再調査の請求では12.3%で前年度より5.5ポイント増加しています。審査請求では8.2%と前年度と比べ4.1ポイント減少していますが、訴訟では、認められた割合が10.0%と前年度を5.5ポイント上回っています。