税のトピックス

2024年10月9日

  • ニュースレター

知的財産権の評価

知的財産権の評価

1. はじめに

近年、重要な財産権として著作権、特許権、商標権や実用新案権といった知的財産権がますます注目を集めています。
今回は代表的な知的財産権である「特許権」と「著作権」について、財産評価基本通達に定める評価方法を解説します。

 

2. 特許権の評価

特許権の評価は、将来受ける補償金(特許の使用料)の額の基準年利率による複利現価の額の合計額によって評価します。

(計算式)

図1-Oct-08-2024-02-23-58-8530-AM

 

計算期間は特許権の存続期間の範囲内で推算した年数とされており、一般的に特許契約に基づき決定されます。

なお、取得すると見込まれる補償金の額の合計額が50万円未満の少額な特許権については、評価しません。 

また、特許権の評価が必要なものは他社に利用させているものに限られます。特許権者が自ら使用している特許権は営業権に含めて評価をします。財産評価基本通達に定める平均利益金額が5,000万円を超える場合には営業権が計上される可能性があります。 

 

3. 特許権の計算例

(前提)

  • 補償金年額:5,000,000
  • 特許権の計算期間:5年
  • 課税時期:令和6年6月

(回答)

図2-Oct-08-2024-01-40-22-3057-AM

※複利現価率は、国税庁が公表している令和6年6月分の複利表を使用している。

特許権の評価額:24,665,000円(1年目~5年目までの③の金額の合計)

 

4. 著作権の評価

著作者の別に一括して次の算式により計算した金額により評価します。なお個々の著作物に係る著作権については、著作権ごとに次の算式により評価します。

(計算式)

年平均印税収入の額は課税時期の属する年の前年以前3年間の印税収入の年平均額となります。また評価倍率は著作物に精通している者の意見等を基として推算した印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率により計算します。一般的に評価倍率の算定の基となる印税収入期間は、出版社や出版協会等の精通者に確認をします。

 

5. 著作権の計算例

(前提)

  • 年平均印税収入:4,000,000
    ※令和3年分:3,500,000円、令和4年分:4,500,000円、令和5年分:4,000,000円
  • 出版社による印税収入期間:3年
  • 課税時期:令和6年6月

(回答)

図4-Oct-08-2024-02-25-48-8499-AM

 

 

執筆:奥山 啓彦 okuyaman@yamada-partners.jp

税のトピックスに戻る