財務省のホームページに、平成28年度税制改正に対する各省庁の要望が公表されました。各省庁の要望数を単純合計しますと、減税が222、廃止・縮減が2となります。最も要望数が多かったのは経済産業省で43、国土交通省が40と続いています。
各省庁の要望は平成27年度で期限切れとなる措置の拡充・延長が中心ですが、制度・措置を新設する要望もあります。
内閣府の要望内容を見ると、少子化対策推進の一環として、「三世代同居に係る税制上の軽減措置の創設」を要望しています。具体的には、①三世代同居改修に要した工事費用の年末ローン残高の一定額を所得税額より控除する措置の新設、②三世代同居における相続税の小規模宅地特例を拡充する措置の創設という、所得税と相続税に関する措置の要望です。
また、内閣府は厚生労働省と共同で「子育て支援に要する費用にかかる税制措置の創設」を要望しています。これは、女性の活躍を促進する等の観点から、ベビーシッター等の子育て支援に要する費用の一部について、税制上の所要の措置を講ずるよう要望するものです。具体的には、給与所得者の特定支出控除の対象に、ベビーシッター等の子育て支援に要する費用を追加する措置を要望しています。
給与所得者の特定支出控除とは、会社員など給与所得者が支出する経費のうちの一定額を所得から差し引いて課税所得を減額する制度です。現在、特定支出控除の対象として認められている特定支出費には、転勤に伴う転居費、研修費などがあります。この特定支出費にベビーシッター等の子育て支援に要する費用を加え、税負担を少なくし、子育て世代を支援しようというものです。
各省庁の要望が出そろうと、いよいよ税制改正の議論が始まります。今後の税制改正の議論の行方が注目されます。