国税庁・国税不服審判所は、「平成27年度における異議申立ての概要」「平成27年度における審査請求の概要」「平成27年度における訴訟の概要」を公表しました。
国税に関する処分について納税者に不服がある時の救済制度には、処分庁に対する「異議申立て」、国税不服審判所長に対して不服を申し立てる「審査請求」(不服申立制度)と、裁判所に「訴訟」を提起して処分の是正を求める救済制度があります。
このうち「異議申立て」は、税務署長などが更正・決定や差押えなどの処分をした場合に、その処分に不服がある納税者が税務署長などに対してその処分の取消しや変更を求める手続きをいいます。「審査請求」は異議申立てによる決定を経た後の処分になお不服がある場合等に、その処分の取消し等を求めて国税不服審判所長に対して申し立てる手続です。
各概要を見ると、平成27年度の課税処分に対して納税者が起こした異議申立ては3,191件で、前年度と比べると15.8%増加しています。また、異議申立てが認められずに国税不服審判所に審査請求したケースは、同比3.3%増の2,098件、訴訟となったのは同比2.5%減の231件でした。
納税者の主張が何らかの形で受け入れられた割合をみると、異議申立てでは8.4%で前年度より0.9ポイント減少しています。審査請求では8.0%と前年度と同率、訴訟では、認められた割合が8.4%と前年度を1.6ポイント上回っています。
なお、国税不服申立制度について改正が行われ、平成28年4月1日以後に行われる処分に係る不服申立てから「異議申立て」は「再調査の請求」へ名称変更されました。また、再調査の請求を経ないで審査請求を行うことも可能になっています。