税のトピックス

2020年5月18日

  • 法人税

国税庁、新型コロナに関連する文書回答事例を公表

国税庁、新型コロナに関連する文書回答事例を公表

 国税庁では、新型コロナウイルス感染症に関する対応として、文書回答事例「 Jリーグの会員クラブに対して支出した広告宣伝費等の税務上の取扱いについて 」を公表しました。これは、公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)からの問い合わせに、国税庁が回答したものです。

問 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、赤字経営を余儀なくされているJリーグの会員クラブに対して、親会社が赤字補填のため、金銭の支出等をした場合、下記のとおり解して差し支えないか。

 ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。

  

1.自己の子会社等であるクラブ運営会社に対して支出した広告宣伝費等の取扱い
 親会社(直接の親会社だけに限らず、例えば、親会社と同一の企業グループに属する関係会社やスポンサー企業で、当該クラブの事業活動を通じて広告宣伝効果を受けると認められるものを含みます。)が、各事業年度において自己の子会社等であるクラブ運営会社に対して支出した金銭の額のうち、広告宣伝費の性質を有すると認められる部分の金額は、これを支出した事業年度の損金の額に算入される。
    
2.親会社がクラブ運営会社の欠損金を補てんした場合の取扱い
 親会社が、クラブ運営会社の当該事業年度において生じた欠損金(Jリーグに関する事業から生じた欠損金に限ります。)を補填するため支出した金銭の額(既に貸付金等として経理していた金銭の額を含みます。)は、クラブ運営会社の当該事業年度において生じた欠損金額を限度として、特に弊害がない限り、広告宣伝費の性質を有するものとして取り扱われる。

    

3.親会社がクラブ運営会社に対して行う低利又は無利息による融資の取扱い
 親会社が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりクラブ運営会社の経営が困難となったことに伴い、復旧支援を目的として、相当の期間(通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間をいいます。)内に、当該クラブ運営会社に対して、低利又は無利息による融資を行った場合には、当該融資は正常な取引条件に従って行われたものとして取り扱われる。
  
 

 上記1、2に関する取扱いは、プロ野球の球団に関する通達、昭和29年8月10日直法1-147「職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取扱について」に準じています。親会社が支出した金銭のうち、広告宣伝費の性質を有すると認められる部分の金額は、これを支出した事業年度の損金に算入するという取扱いです。

 上記3に関する取扱いは、法人税基本通達9-4-6の3「災害の場合の取引先に対する低利又は無利息による融資」によるものです。先日の通達改正により、「新型インフルエンザ等が発生し、入国制限又は外出自粛の要請など自己の責めに帰すことのできない事情が生じたことにより、売り上げの減少等に伴い資金繰りが困難となった取引先」も、 「災害を受けた取引先」と同様とする旨が注記されました。

 なお、今回の文書回答事例において「親会社」とは、直接の親会社だけに限らず、例えば、親会社と同一の企業グループに属する関係会社やスポンサー企業で、当該クラブの事業活動を通じて広告宣伝効果を受けると認められるものを含むとしています。通常よりも幅広く、支援が認められるようです。

    

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特集 「新型コロナウイルス感染症に関連した対応措置

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