国土交通省は、令和2年都道府県地価調査の結果をとりまとめ、ホームページに公表しました。
都道府県地価調査とは、国土計画利用法に基づき、各都道府県が毎年7月1日時点における調査地点の正常価格を調査・公表しているもので、昭和50年から実施されています。主に住宅地や商業地を調査するものです。令和2年調査地点数は、21,519地点となっています。
調査によると、全国平均では、全用途平均が平成29年以来3年ぶりに下落に転じています。用途別にみると、住宅地は下落幅が拡大し、商業地は平成27年以来5年ぶりに下落に転じ、工業地は3年連続の上昇ですが上昇幅が縮小しました。
三大都市圏では、全用途平均は7年連続上昇を続けていましたが横ばいとなり、住宅地は7年ぶりに下落に転じ、商業地・工業地は上昇を継続していますが上昇幅が縮小しました。
地方圏をみると、全用途平均・住宅地は下落幅が拡大し、商業地は2年ぶりに上昇から下落に転じ、工業地は3年ぶりに下落に転じました。地方圏のうち、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では、いずれの用途でも上昇を継続していますが、上昇幅が縮小しました。地方四市を除くその他の地域においては、全用途平均・住宅地・商業地は下落幅が拡大し、工業地は2年ぶりに上昇から下落に転じています。
この1年のうち前半(令和元年7月2日~令和2年1月1日)においては、交通利便性や住環境の優れた住宅地、オフィス需要の強い商業地、訪問客の増加に伴う店舗やホテルの進出が見込まれる地域を中心に地価の回復傾向が継続していたとみられます。一方、後半(令和2年1月2日~令和2年7月1日)においては、新型コロナウイルス感染症の影響による先行き不透明感から需要が弱まり、総じて上昇幅の縮小、上昇から横ばい又は下落への転化となったと見られます。この結果、年間の変動率も、前年までとは異なる傾向が見られます。
国土交通省によると、「地価動向の変化の程度は様々」であるとして、その理由は「新型コロナウイルス感染症が地価に与える影響の程度が土地への需要の特徴や地域の経済構造などにより異なることや、再開発など中長期的な上昇要因の有無が地域で異なることによると考えられる」としています。