国税庁は、ホームページに「令和元年分民間給与実態統計調査結果について」を公表しました。 この調査は、民間企業における年間の給与の実態を、給与階級別、事業所規模別、企業規模別等に明らかにし、併せて、租税収入の見積り、租税負担の検討及び税務行政運営等の基本資料とすることを目的とするものです。昭和24年分から始まり、以後毎年実施され、今回が第71回となります。
調査の結果を見ると、令和元年中に民間の事業所が支払った給与の総額は231兆6,046億円で、前年から8兆563億円(前年比+3.6%)増加しています。
また、民間企業に昨年1年間を通じて勤務した給与所得者は5,990万人(同比+1.3%)となりましたが、その平均給与は436万円(同比△1.0%)と7年ぶりに減少しています。
平均給与を正規・非正規別に見ると、正規社員の平均給与は503万円で前年と比べて微減にとどまっていますが、非正規社員は175万円で前年と比べると2.5%減少少しています。
女性の給与所得者数は2,223万人と前年と比べ6.8%増加し、平均給与も同比0.8%増の296万円で、男女別の統計を取り始めた1978年以降で最高となっています。一方、男性の給与所得者数は3,032万人(同比+2.9%)、平均給与は540万円(同比△1.0%)となりました。
業種別の平均給与では、トップは「電気・ガス・熱供給・水道業」の824万円(前年比+8.6%)、続いて「金融業・保険業」627万円(同比△0.7%)、「情報通信業」の599万円(同比△3.8%)となっています。
逆に最も低いのは「宿泊業・飲食サービス業」の260万円(同比+3.6%)、続いて「農林水産・鉱業」297万円(同比△4.7%)、「サービス業」の359万円(同比△1.2%)となっています。パートやアルバイトなどの非正規社員が多いと考えられる業種の平均給与は、低くなりやすい傾向にあるようです。
なお、令和元年分調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言発令を踏まえ、事業者への疑義照会や督促を中止したことに伴い、調査票の回収率が低下し、地域・業種別等のサンプル数の少ない一部統計表に影響が生じているようです。