税のトピックス

2024年9月2日

  • 税制改正

各省の令和7年度(2025年度)税制改正要望、出そろう

各省の令和7年度(2025年度)税制改正要望、出そろう

令和7年度(2025年度)税制改正に対する各省庁の要望が、 財務省・総務省のホームページに公表されました。各省庁の要望は令和6年度で期限切れとなる措置の拡充・延長のほか、制度・措置を新設する要望もあります。

 

経済産業省(経産省)の要望内容を見ると、「国内投資の持続的拡充」「中小企業の活性化」「激動する国際課税制度への対応と企業のグローバル対応に向けた環境整備」「エネルギーサプライチェーンの強靭化・GXの実現や産業競争力強化に向けた検討」の4項目を掲げて要望しています。

 

主な要望項目は、下記のとおりです。

(1) 国内投資の持続的拡充

  • 中小企業経営強化税制の拡充
  • 「重点促進分野(仮称)」における設備投資への優遇措置の創設
  • 産業用地整備促進税制の創設
  • エンジェル税制・再投資期間の複数年への延長

(2) 中小企業の活性化

  • 事業承継税制の特例措置・役員就任要件の見直し
  • 中小企業経営強化税制の拡充(再掲)
  • 中小企業投資促進税制及び中小企業軽減税率の延長
  • 中小企業防災・減災投資促進税制の延長
  • 設備投資に伴う固定資産税の軽減措置の延長等

(3) 激動する国際課税制度への対応と企業のグローバル対応に向けた環境整備

  • グローバル・ミニマム課税制度及び関連する既存の類似措置における手続等の簡素化等 

(4) エネルギーサプライチェーンの強靭化・GXの実現や産業競争力強化に向けた検討

  • 持続的な鉱業活動を後押しする減耗控除制度の延長等
  • 電気供給業等について法人事業税の課税方式変更の検討
  • 自動車関係諸税について、公平・中立・簡素な課税のあり方の検討
  • AI・半導体分野における国内投資の持続的な拡大に向けた環境整備の検討

 

今回の経済産業省の要望を見ると、新たに創設を希望している制度については、「地方公共団体」がポイントになりそうです。

 

 

◆「重点促進分野(仮称)」における設備投資への優遇措置の創設

経産省は地域未来投資促進税制について、地域経済を牽引する中堅・中核企業の成長促進を通じた強靱な産業基盤の構築に向けて、地方公共団体が戦略的に重点支援を行う産業分野「重点促進分野(仮称)」に対する新たな枠を設けることを要望しています。

 

<地域未来投資促進税制の拡充及び延長>

出典:経済産業省「令和7年度税制改正に関する経済産業省要望【概要】」(赤枠は筆者加筆)

 

 

◆ 産業用地整備促進税制の創設

経産省は、地方公共団体(自治体)が民間事業者の活力を活用して産業用地を整備する事業において地権者の譲渡所得への所得控除を行う、産業用地整備促進税制の創設を要望しています。

これは、地権者交渉の円滑化、産業用地の迅速な供給により、地域経済に波及効果をもたらす国内投資を後押しすることを目的としています。

出典:経済産業省「令和7年度税制改正に関する経済産業省要望【概要】」

 

各省庁の要望が出そろうと、いよいよ税制改正の議論が始まります。今後の税制改正の議論の行方が注目されます。

 

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