国税庁が、ホームページに「国外転出時課税制度(FAQ)」を公表しました。平成27年度税制改正において創設された国外転出時課税制度について、主な概要を中心に取りまとめたものです。
国外転出時課税制度とは、「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」及び「贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例」の争訟をいいます。新聞等では、出国時課税と言われこともあり、日本の居住者が海外に転出し非居住者となる場合の課税というイメージがありますが、実際には、(1)対象者が国外転出をする時、(2)対象者が国外に居住する親族等(非居住者)へ対象資産の一部又は全部を贈与する時、(3)対象者が亡くなり、相続又は遺贈により国外に居住する相続人又は受遺者が対象資産の一部又は全部を取得する時に、対象資産の含み益に対して所得税が課税される制度です。
国外転出時課税制度は、実際に対象資産を譲渡したわけではないのに譲渡したとみなされて課税されるため、いくつか特例が設けられています。たとえば、この制度の適用を受けた者が対象資産を国外で譲渡せずに国外転出から5年経過日までに帰国した場合には、帰国日から4ヵ月以内に更正の請求をすることにより、課税の取り消しを受けることができます。また、対象者であっても、国外転出年分の確定申告書に、納税猶予を受けようとする旨の記載をした場合には、納税猶予分の担保と納税管理人の届出を要件に、国外転出から5年(申請により10年まで延長可)経過日までは納税が猶予される規定が設けられています。
FAQは全46問、概要や対象、手続等について解説しています。なお、国外転出時課税制度の施行は、平成27年7月1日ですのでご注意ください。