国税庁は、所得税の調査についてまとめた「平成27事務年度所得税調査事績」を公表しました。この調査によると、国税庁が今年6月までの1年間に行った所得税(譲渡所得等を除く)の調査等件数は65万件(対前年比△12.2%)で、そのうち申告漏れ等が発見された件数は、39万6千件(同△15.0%)となっています。
1件当たりの事業所得の申告漏れ所得金額が高額な業種をみると、「キャバレー」が2,628万円でトップとなり、2位は「風俗業」(2,326万円)、3位は「畜産農業(肉用牛)」(1,471万円)となりました。この他、「解体工事業」や「型枠工事」「鉄骨鉄筋工事」「タイル工事」が新たに上位10業種に入りました。
申告漏れ割合(申告漏れ所得/(調査前所得+申告漏れ所得))を業種別に見ると、「畜産農業(肉用牛)」が94.3%と最も高く、「風俗業」92.4%、「キャバレー」が89.1%、「バー」67.8%と続き、現金取引の多い業種が、申告漏れ割合も高くなる傾向にあります。
また、国税庁では、有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な者などの、いわゆる「富裕層」に対して、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に調査を実施しており、平成28事務年度においても積極的に取り組んでいるそうです。
平成27事務年度においては、4,377件(対前年比+0.4%)の調査を実施し、そのうち申告漏れ等が発見された件数は、3,480件(同+1.9%)となっています。申告漏れ総額は、前年390億円から32.3%増の516億円に上っています。
国税庁は、海外投資等などを行っている富裕層に対しては、平成27事務年度において565件(同+26.1%)の調査を実施しており、特に強化を図っているようです。