国税庁は、所得税の調査についてまとめた「平成29事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」を公表しました。この調査によると、国税庁が今年6月までの1年間に行った所得税の調査等件数は62万3千件(対前年比3.8%減)で、所得金額9,038億円(同1.7%増)の申告漏れが把握され、1,196億円(同7.6%増)が追徴課税されています。
1件当たりの事業所得の申告漏れ所得金額が高額な業種をみると、「キャバクラ」が2,897万円でトップとなり、2位は「風俗業」(1,974万円)、3位は「不動産代理仲介」(1,774万円)となりました。この他、「システムエンジニア」、「機械器具、部品修理」と続いています。
申告漏れ割合(申告漏れ所得/(調査前所得+申告漏れ所得))を業種別に見ると、「キャバクラ」が93.7%、「風俗業」89.7%と高く、現金取引の多い業種が申告漏れ割合も高くなる傾向にあります。
また国税庁は、「無申告は、申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすことになるため、的確かつ厳格に対応していく必要がある」として、高額・悪質と見込まれた無申告者への調査を強化しています。調査件数は7,779件で、前年と比べると2.2%増加しました。この他、海外投資等を行っている個人やインターネット取引を行っている個人の調査にも力を入れています。国税庁は、更なる資料情報の収集および活用を図り、今後も積極的に調査を実施する方針です。