総務相が衆議院予算委員会で、ふるさと納税で高額の返礼品があることについて「異常だと思う高額な返礼品もある。速やかに節度ある対応について通知したい」と述べたという報道がありました。
ふるさと納税とは、都道府県・市区町村に対する寄附金のうち、2,000円を超える部分について、一定限度額まで、原則として所得税と住民税合わせて全額が控除される制度をいいます。2008年5月に始まり、寄付額は09年度の約72億6000万円から13年度約130億1000万円まで増えました。政府は現在、ふるさと納税制度の促進を図るため、控除限度額の倍増、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の創設を織り込んだ税制改正法案を、国会に提出しています。
一方で、より多くの寄付を集めようと、地域の特産品を寄付の返礼品として贈る自治体が増え、自治体間の競争が過熱しています。今回の総務相の発言は、その過熱する競争が行き過ぎないよう歯止めをかけるものです。総務省は、税制改正法案の成立後、各自治体に対し、返礼品等の送付について、寄付金控除の趣旨を踏まえた良識ある対応を要請するとしています。
過去には、1,000万円の寄付に対し750万円相当の土地を返礼品として贈るプランを設定した地方自治体が、総務省より問題があるとの指摘を受け、プランを中止しましたことがありました。
ふるさと納税の人気が高まるにつれ、自治体間の競争が行き過ぎないよう歯止めが必要になりそうです。
なお、納税者が各自治体から返礼品を受け取った場合には、経済的利益を受領したとして、所得税の課税対象(一時所得)となります。ただし一時所得は、所得から50万円を差し引いた残額に課税されるため、実際に課税が必要になる人の割合は低いと考えられます。返礼品を換算した金額の合計が50万円を超える場合や他に一時所得となる所得がある場合には注意が必要です。