国税庁は、ホームページに「登録国外事業者名簿」を掲載しました。登録国外事業者制度は、国境を越えた役務提供に係る消費税の改正に関連して導入されたもので、消費税の申告納税を適正に履行する蓋然性が高いと認められる国外事業者に対して、国税庁長官が登録番号を付与する制度です。登録国外事業者は、登録次第、国税庁のホームページ上で、事業者の氏名又は名称、住所又は本店所在地、登録番号等について公表されることになっており、今回の名簿はその第一弾です
そもそも「国境を越えた役務の提供」とは、国外事業者が国境を越えて行う役務の提供、具体的には電子書籍や音楽、広告の配信等をいいます。従来は、国外事業者から電子書籍や音楽を購入し、ダウンロードしても、消費税は課税されませんでした。改正後は、国外事業者から購入しても、国内事業者からの購入と同様に消費税が課税されることになります。しかし、日本国内に拠点を持たない国外事業者に対して消費税の納税義務を課しても、適正な税務執行の確保には限界があるため、改正に際して課税方式の見直しが行われています。
役務提供を受ける国内事業者の立場で整理すると、まず国境を越えた役務提供取引の内容により、納税義務者が異なるため、取引内容をチェックする必要があります。この役務提供取引が、事業者間に限定された取引である場合、消費税の納税義務者は自分自身となります(リバース・チャージ方式)。この役務提供取引が、取引相手を事業者に限定しない取引すなわち消費者とも行うことができる取引である場合には、消費税の納税義務者は国外事業者となり、自分自身ではありません。この場合、自分自身の消費税を申告する際、取引相手が「登録国外事業者」ではない時には、その消費税相当額を「仕入税額控除」の対象とすることができないため、自身の取引先が「登録国外事業者」であるかどうか確認する必要があります。
8月17日現在、登録国外事業者には、6事業者が登録されています。今後も登録国外事業者が増えるたび、順次ホームページ上に掲載される予定です。