東京国税局はホームページに、文書回答事例「公社債の譲渡による所得の総収入金額の収入すべき時期の取扱いについて」を公表しました。
公社債の譲渡による所得に係る所得税については、平成27年までは原則非課税ですが、平成28年からは「株式等に係る譲渡所得等」として課税の対象になります。
証券会社等を通じ公社債を譲渡すると、契約の効力発生の日から引渡しの日までに通常4営業日要しており、平成27年中に公社債の譲渡に関する契約の効力が発生し、その引渡しが平成28年中となる場合があるため、この場合の収入すべき時期の取扱いについて疑義が生じていました。
納税者からの事前照会の内容は次のとおりです。
株式等に係る譲渡所得等の総収入金額の収入計算は、原則、株式等の引渡し日があった日で行いますが、契約の効力の発生日で申告したときには、契約の効力の発生日を選択することができます(措置法通達37の10・37の11共-1(1))。
この通達によると、契約の効力の発生日を選択するには申告が必要です。しかし、平成27年分の公社債の譲渡による所得については、原則非課税となるため、申告は不要です。この場合には、特に申告をしなくても、公社債の譲渡による所得の総収入金額の収入すべき時期を平成27年とすることが認められるものと解してよろしいですか。
東京国税局の回答は、事前照会者の見解どおり、所得税の申告は不要としています。「仮に所得税の申告書の提出が必要であるとしたときには、所得税法の規定によらずに所得税の申告義務を課すこととなり、相当ではない」と考えているようです。