税のトピックス

2020年11月24日

  • 所得税

GoTo事業により受ける割引支援金等に対する所得税

GoTo事業により受ける割引支援金等に対する所得税

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、低迷している経済を刺激する策として、政府主導による「GoTo事業」が展開されています。その中で、一般個人(消費者)に直接関連するGoTo事業には、GoToトラベル事業、GoToEat事業、GoToイベント事業があります。

<GoToトラベル事業>
  宿泊を伴う、または日帰りの国内旅行の代金総額の1/2相当額を国が支援する事業です。給付額の内、70%は旅行代金の割引に、30%は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与されます。
出典:GoToトラベル事業事務局ホームページ
<GoToEatキャンペーン事業>
 Go To Eatキャンペーンは、感染予防対策に取り組みながら頑張っている飲食店を応援し、食材を供給する農林漁業者を応援するものです。
 GoToEatキャンペーンには、 登録飲食店で使える 「プレミアム付食事券」の発行・発売と「オンライン飲食予約」によるポイントの付与の2種類があります。
出典:農林水産省 GoToEatキャンベーン事業
<GoToイベントキャンペーン事業>
 チケットの割引・クーポンの付与により、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって甚大な影響を受けている文化芸術やスポーツに関するイベントの需要喚起を目的とした事業です。
出典:経済産業省 GoToイベントキャンペーン事業
 最も有名で利用実績があるのはGoToトラベル事業です。7月22日から10月31日までの利用人泊数は少なくとも約3,976万人泊、割引支援額は少なくとも約2,087億円にのぼるそうです(出典:観光庁「GoToトラベル事業における利用実績等について」)。一人当たりに換算すると、一人泊当たり旅行代金約13,553円、一人泊当たり割引支援額は約4,743円になります。

 一方、GoToEatキャンペーンのうち、オンラインサイトを通じてポイントを付与する事業では、11月11日時点で5,000万人以上の予約、ポイント付与額に換算すると400億円以上となるそうです。

 GoToイベントキャンペーンは、10月29日にスタートしたばかりなので、公表された数字はありませんが、富士急ハイランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパン等がGoToイベントキャンペーンの対象となるチケットを発売するとして話題になりました。

 GoTo事業はいずれも活況を呈していますが、利用する人が増えると気になるのは所得税の課税関係です。GoTo事業を利用して割引支援額を受けた場合には、その支援額に対して所得税は課税されるのでしょうか。

 いずれも、各キャンペーンを紹介するホームページのQ&Aにおいて、所得税が課税される旨が明記されています。

・Gotoトラベル事業(国土交通省)
Q GoToトラベル事業を利用して旅行した場合、国による支援額(旅行代金の2分の1相当額)は課税対象になるのか。
A GoToトラベル事業は国内旅行を対象に、旅行業者等を通じて、宿泊・日帰り旅行代金の2分の1相当額の給付を旅行者に対して行うものであり、この給付は税務上、旅行者個人の一時所得として所得税の課税対象となります。
 出典:GoToトラベル事務局HP「GoToトラベル事業 Q&A集(11月13日時点) 
・GoToEatキャンペーン事業(農林水産省)
Q GoToEatキャンペーンを利用して飲食した場合、国による支援額(購入した食事券のプレミアム分25%、オンライン飲食予約サイトにより付与される一人当たり500円又は1,000円分のポイント)は、消費者個人の所得税の課税対象になるのか。
A GoToEatキャンペーンでは、地域の登録飲食店で使えるプレミアム付食事券を販売し、その際、購入者に対して、購入額の25%分のプレミアムを給付します。また、オンライン飲食予約サイトを通じた飲食予約の後、実際に来店・飲食した場合に、予約者に対して、次回以降の飲食で使える一人当たり500円又は1,000円分のポイントを給付します。これらの給付は税務上、消費者個人の一時所得として所得税の課税対象となります。
 出典:GoToEatキャンペーン「よくあるご質問」
・GoToイベントキャンペーン事業(経済産業省)
Q GoToイベント事業を利用してチケットを購入した場合、国による給付(割引・クーポン相当額)は課税対象になりますか。
A ・・・消費者個人の一時所得として所得税の課税対象となります。
 出典:GoToイベントキャンペーン「よくあるご質問」

 所得税の課税対象にはなりますが、実際に課税されるケースは多くないかもしれません。当該所得は所得税法上、「一時所得」に分類されますが、所得金額の計算上、50万円の特別控除が適用されます。従って、他の一時所得(懸賞や福引の賞金品や競馬の競輪の払戻金等)とされる金額とGoTo事業による割引支援額・給付額との合計額が年間50万円を超えない限り、所得税の課税所得は生じないためです。

 現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、一部地域においてGoToトラベル事業の一時停止等が議論されています。GoToEatキャンペーン事業においても、4人以下の単位での飲食が要請されました。

 Withコロナ時代に向け、利用者にも、体調が悪い時には参加を控える、マスク着用、手洗い消毒、ソーシャルディスタンスなどの感染予防策を行うなど、より一層の対策が求められています。

税のトピックスに戻る